最近、グローバル企業として既に歴史がある企業はもとより、国内売上高比率が海外の売上より圧倒的に高い企業でさえ、「グローバル・リーダー研修」を行うなど、社員をグローバル人材にしようとする動きが盛んだ。
そこで、一般的には同期から3~4%しか選ばれないグローバル・リーダー候補の座を巡って、同期同士の熾烈な戦いが繰り広げられるのは、先日お伝えした通りだ。
候補は35歳までに決まっている
しかし、筆者が取材した大手企業の複数の人事担当者によると、そうしたアピール合戦は「ほとんどの場合意味がない」(大手金融機関幹部)と言う。
一体、なぜか?
「"グローバル・タレント=将来の執行役員候補"になれるかなれないかは、35歳までに決まっているからです。よって、30代前半や中盤でジタバタして、TOEICのスコア上げやMBAの真似事みたいなことをしても、焼け石に水という場合がほとんどです」(同)
ある大手メーカーの人事も、こんな本音を漏らす。
「上司に、自分は英語やMBA通いを頑張っている熱意を見せても、部長以上になることと、海外赴任に出す・出さないは別のロジックで決まる。そういう人材は、人事と役員の話合いで決まるので、そもそも"上司アピール"には限界がある」
ちなみに、この大手メーカー人事で「グローバル・リーダー研修」に参加できるグローバル・タレント候補は、このような基準で選ばれると言う。
「ひとつは、今日(こんにち)あるいは将来において、役員の職務をこなすスキルを備えた人材かどうか。ふたつ目は、競合他社との同等程度のポジションの人材に比べて見劣りしないかどうかのベンチマーキング。3つ目は、当該人材の入社以来のアウトプットの生産性の評価はどうか。そして4つ目は、コミットメント。つまり会社に貢献する意欲があるかどうかです」
この人事マンによると、この4つの要素を満たす人材かどうかを、人事と役員と人事コンサルティング会社のコンサルタントが徹底して討論、精査し、候補を選出するそうだ。