コンプライアンスに関して世間の目が厳しくなり、企業側もワーク・ライフ・バランスに配慮していることをPRするようになった。「残業野放し状態」から「極力残業しないように」と意識づけをはじめた会社も目立ってきたようだ。実に良いことである。
私とて単にブラック企業を一方的に批判して終わり、というわけではなく、「地道に働く人が報われる」労働環境を実現したいという思いで様々な提言やアドバイスをおこなっている。先般も、中小零細企業の経営者が集まるとある会合で、皆さまから以下のようなグチをお聴きしたばかりだ。
「守れない」のではない。「守る気がないだけ」
「ウチの社員はやる気があるんだよ。残業を強制してるわけじゃないのに、社員たちは自主的に遅くまで仕事してるんだ!」
「実際、社員からは何の不満も出てないんだから、今のままでも別に問題ないんじゃないの!?」
「労基法なんて全部が全部守ってられないよ!バカ正直に守ったばかりに、会社がつぶれちゃったら意味ないでしょ」
私だって経営者の端くれだから、皆さまのお気持ちはよーく分かる。
…しかし、結論からいうと、それではダメなのだ。法律は遵守せねばならない。
実際、法の制約は厳しいし、守るべきことは多い。キチンと運用していけば、法律を守ってない会社に比べて当然お金もかかるだろう(もちろん、その状態が普通のはずなのだが…)。
では、本当に企業は労基法を守れないのだろうか?正直に守った会社はつぶれてしまうのだろうか?
答えは「否」だ。「守れない」のではない。「守る気がないだけ」だ。