増加中「海外赴任嫌いの若者」に、意識改革を促す必要がない理由

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日本国内専用人材という区別

   シンガポール在住で企業の統括・ハブ機能のコンサルティングを行う木島洋嗣氏は、この記事について、自身のFacebookで次のようにコメントしている。

「(海外赴任を嫌う人がいる)一方、海外現地採用思考の若者もいます。ですので前々から言う通り尚更、内外分離で。日本では日本国内専用人材。シンガポールや香港で統括人材、各国で各国密着人材」

   これからの日本人は、べつに英語も喋る必要もないし、海外で働く必要もない。日本国内で、日本人相手の商売をしていれば良くて、国内の販売やアフターサービスといった国内向けの事業は、そういう人材だけの仕事になる。日本国内専用人材という区別だ。

   いままでは、日本国内専用人材も、グローバル人材も、いっしょくたになって採用され、おなじように配属された。新卒で入社し、現場で修行をして、ゆくゆくはグローバルに活躍できるように育てられるパスがえがけたが、今後はそうではなくなるだろう。

   国内の出世の延長に海外があるのではなく、国内人材と、グローバルの管理や戦略を作る人材を、はじめから分けて採用するようになる。

   国内向け専用人材は、この調査にあるように海外に赴任したくないというひとでかまわない。

   グローバル向け人材は、地域拠点があるシンガポールや上海、香港や、ドバイや、アムステルダムやサンフランシスコなりで採用することになるからだ。そして、世界の拠点から生え抜きの人材を、グローバル本社に登用する。

   本社機能も、日本以外の場所に散らばり、そこは日本専用人材の出世先ではなく、シンガポールや上海のグローバルむけ人材の出世先になるだろう。

   差別ではなく、区別。

   適材適所、という考えが進むだろう。だから、べつに海外赴任はいやだという日本のドメ人材に、意識変化を期待する必要はなくなる。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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