バイトの人は、どんどん会社を辞めるといい それが「変化」を後押しする

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バイトはどんどん辞めるといい

   でも、世の中でブラック企業を声高に批判する人たちは、なぜかそういう本質的な部分には触れたがらない。単に有名大企業を攻撃し、従業員をもっと長く手厚く雇えと要求するだけだ。筆者の目には、彼らはまるで正社員制度という名の柵の中に正社員を閉じ込め、よりブラックな環境を生み出すことに手を貸そうとしているようにしか見えない。


   とはいえ、そんな内輪の事情は、牛丼店で働くバイトのみんなには何の関係もない話だ。君たちはこれからもどんどん休んだり辞めたりしていい。テストや体調不良はもちろん「恋人に振られてつらいから」とか「今日はそんな気分じゃないから」といった理由でもOKだ。


   だって、流動性の高さこそ君たちの手にしている最強の武器であり、権利なのだから。「職場に迷惑がかかるから」なんてつまんない理由で我慢するのはもったいない。君たちの空けた穴は、正社員のみんながぶっ倒れるまで頑張って埋めてくれることだろう。


   その正社員もぶっ倒れたり逃げ出したりしたらどうなるか?そうなったら、バイトも正社員も同じ土俵で無理なく働ける新制度を会社自身が作るしかない。


   最近、一部のサービス業で、パート社員を正社員化する流れが起き始めている。労働力不足による囲い込みが狙いなのは明らかだが、より専門的な視点から言えば、バイトの穴を正社員だけでは埋められなくなってきたため、両者の垣根をなくして同一の人事制度を作ったということだ。


   国が同一労働同一賃金を法制化するのがまだ先だろうが、時代は待ってはくれないのだ。もう一度言おう。その変化を後押しするためにも、バイトは我慢しないでどんどん辞めるといい。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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