「嘘はやめよう。子供が真似して嘘をつく」
しかも、Bには2006年にも同じような不正操作を部下に指示し、降格処分を受けた前歴があった。そのような者に再び同部門の部長職を任せてしまったA社および親会社の経営陣にも今回の不祥事を招いた責任があるといえるだろう。
鉛筆をなめて数字をいじれる状況にある者が、目標達成の強いプレッシャーにさらされれば、当然数値改ざんのリスクは高まる。その上、部長職にある者が過去に自ら原価付替えを行いながら、厳しい処分もなく再び部長職に返り咲いているのであれば、不正への抵抗感は徐々に麻痺してしまうだろう。
「嘘はやめよう。子供が真似して嘘をつく」
たまたま見かけた日めくりカレンダーにこんな教訓が書いてあった。これは、上司と部下の関係にもあてはまる。人の上に立つ者が誠実な行動を貫けなければ、不正防止のためのどんな仕組みも形骸化してしまうということを改めて痛感させられる。(甘粕潔)