元社員の再就職斡旋に東奔西走
「オヤジがどれだけ自社の社員を大切にしてきたのか、痛いほど分かりました。会社が幕を閉じるその時に、社員の皆はこれまでのお礼をオヤジに言いに来ているんだなと思ったら、彼らを顧みることなく見捨てようとしていた自分が本当に情けなくなりました」
その時彼は、とにかく社員には何を持ってもまず恩義を返そうと決めたといいます。オヤジを支えて会社に尽くしてくれた社員たちをこのままにしてはいけないと、翌日から全社員宅を訪問し退職金が払えないお詫びをしつつ再就職の希望を聞いて周り、知り合いのツテを頼って一人でも多くの元社員が一日も早くなるべく希望に近い形で社会復帰できるように東奔西走したのでした。
その後約半年して、そんな従業員の再就職斡旋に精を出している中で、新たな仕事の話が舞い込んだのだと言います。そこで彼は、再就職先未定の元社員数人と共に新たな事業を立ち上げることを決意し、自分が社長を務める今の会社を立ち上げたのです。そして苦労を重ねながらも、皆で力を合わせつつ一歩一歩会社を成長させ、今では従業員約50人、複数の大手企業からも発注をもらえるほどの安定した会社組織にまで成長しました。