弊社が昨年クライアント様とのコラボビジネスで始めたクリーン事業をお手伝いいただいているM社のH社長。いろいろご苦労を経て今があると聞いていたのですが、先日初めてじっくりとお話をうかがう機会を得ました。
社長は40代後半、今から12~3年前の先代の時代に一度倒産の憂き目に会ったといいます。当時従業員は30人ほど。売上の大半を占めていた大手企業からの突然の発注打ち切りという予期せぬ事態に、父は多忙を極め心労も重なって重度の病に倒れ意識のない状態での入院生活を余儀なくされました。関係先、債権者、従業員への説明などは、すべて跡取りだった彼が背負うことになったのです。
先代の病室に、倒産企業の従業員たちが、代わる代わる見舞いに
「二代目で、それまでこれと言った苦労もなくきた自分にとって、突然降ってわいた試練でした。すべてにおいて頼りきっていた父は全くもって動ける状況になく、債権者からは電話やら押しかけやらで社内はてんやわんや。どうしたらいいものか分からずに、頭は真っ白で自暴自棄になりかけました」
30代半ばの経営者としてまだまだ未熟な彼には、あまりにも過酷な状況が突然襲ったのです。仕事仲間の企業からはそっぽを向かれ、債権者には罵倒され、従業員たちからは「自分たちはどうなるのか」と責めを感じさせる無言のプレッシャーを受け、「すべて投げ出して、誰も追ってこない場所へ逃げ出したくなった」というのはまさに本音であったことでしょう。
そんな一大事の中で、驚くべき光景がありました。先代の病室に、明日の糧さえままならない倒産企業の従業員たちが、代わる代わる見舞いに足を運んでくれていたのです。その光景を目の当たりにして彼はショックを受けました。