頭の固い上司に「YES」と言わせるため 体得しておきたい技術

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   大ベストベストセラーである『人を動かす』の著者のデール・カーネギーは

「命令を質問のかたちに変えると、気持よく受け入れられるばかりか、相手に創造性を発揮させることもある」

としています。ちなみに『人を動かす』は1937年に発売されて全世界で1500万部以上の売上を誇り、現在も復刻版がリリースされるくらいのロングセラー。当方もバイブルとして愛読した1冊です。そんな作者は

「命令が出される過程に何らかの形で参画すれば、だれでもその命令を守る気になる」

とも言っています。

ロングセラー『人を動かす』の知恵

『人を動かす』
『人を動かす』

   一方的な指示ではなく、同意のプロセスがあると素直に受け入れられるもの…ということでしょう。確かに、説得上手な人に秘訣を聞くと、まず相手に何度も「YES」と言わせることを挙げています。こうすることで、相手の心理が肯定的な方向に動きはじめるのでしょう。確かにかなりハードな仕事でも、それが自分の発意によるものと思えれば、やる気が出ます。例えば頭の固い経営者や上司に、下から(部下から)の意見を認めさせる場合などにも、できる部下は巧みに「YES」と言わせてしまいます。

   取材したあるメーカーの直営店がとんでもない赤字をはき出して、どうやっても立て直しができない状態でした。ただ、その直営店は上司が駆け出しの頃に勤務していたところで、思い入れが強く、しょっちゅう当時の思い出を懐かしそうに語ります。こんな場合、周囲は「撤退しよう」とは言い出しづらいもの。強引に撤退を迫れば

「君たちは、ここまでの苦労がわかっていない。もう少し頑張れば黒字になる」

と不可能にも関わらず、続ける羽目になりかねません。そこで出来る部下なら、解決するため、客層の変化や競合の状況など、「客観的」なデータを示しながら、上司にいろいろとお伺いを立て、細かな指示を仰ぐ振りをします。そして、最終的には上司の決断・指示を仰いだというかたちをとって、「撤退」という意思決定に仕向けることでしょう。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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