働く意識を見直す時期がきているのではないか
このようにメンタルヘルスの問題は複雑化してきており、センシティブであることから、周囲は「どのように接して良いか分からないが、なんとかしなければならない」というように悶々としていることが多いのです。2006年からメンタルヘルス・マネジメント検定が実施されましたが、7年で申込者数が3倍に増えていることから、職場でも問題意識が高くなっていることがうかがえます。
「うつ病になった社員をどう対処するか」ということを考えることは大事ですが、精神疾患で休職する社員を増やさないためにはどうしたらいいか、という根本的な問題解決を行っていくことが重要課題ではないかと思います。
うつ病は必ずしも職場の問題だけで発症するとは限らず、離婚や家族の死が原因であることもあります。一方で、過重労働やセクハラ、パワハラ、いじめが原因となる事例も多くあります。企業は、社員が心身ともに健康な状態で働けるよう、働きやすい環境づくりをすることが求められています。
私はこれまでに様々な労働問題の対応を行ってきましたが、会社が費やす労力、時間、金銭、精神的ストレスは相当なものです。
労使間それぞれに、次のような問題があります。企業側では、悪質な労働環境で社員をこき使って使い捨てるブラック企業問題。労働者側では、確信犯的にわざと会社と揉めて争って金銭を巻き上げようとする輩がいたり、とモラルが崩壊しているのではないかと思える事例も少なくありません。原点に立ち返って働く意識を見直す時期がきているのではないでしょうか。
今後、職場で労働問題が起きた際には、この連載コラムの過去記事を辞典のように使って、問題解決のヒントにしていただければ幸いです。
5年間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。