世界一勉強をしないとも言われる日本の大学生。彼らの多く(?)が一斉に青ざめたのが、三菱商事など一部の一流企業が2015年卒就活生に選考材料として成績表の提出を課す、というニュースだ。このまま採用選考に学業成績重視の傾向が広まるのではないかと、誰もが戦々恐々し、ネットでも「やめてくれ…」といった学生らの嘆きの声が見受けられた。
一方、成績表をめぐっては「逆」の動きもある。
「良い成績を取るために必要なのは、会社が必要としている能力とは別物です」
意外なことに、スペシャリストと高学歴エリートの集まりと思われがちなあのシリコンバレーの人気企業は、学歴や成績表、突出した専門的能力よりも一般的な認識力を始め、集団の中での「リーダーシップ」「謙虚さ」「協調力」「順応性」「学ぶことへの意欲」などのソフト・スキルを重視しているという。
NYタイムスに掲載されたグーグルのラズロ・ボック人事部門担当上級副社長インタビュー(2014年2月など)の関連記事によると、グーグルはこれまでの採用実績から、学業成績と会社でのパフォーマンスに相関関係は一切無いとの結論に至ったという。
「良い成績を取るために必要なのは、非常に限定的な能力であり、会社が必要としている能力とは別物です」
新卒採用においてさえも、学業成績はあまり重要視しないとボック氏は言う。
また、面接でお約束だった難問奇問を解かせるのも止め、「過去に直面した難問に対し、いかに分析的に考え、解決したか」などの質問に答えさせ、候補者のリアルな行動・思考様式などを見る行動面接手法を取り入れているという。
行動面接手法は日本の採用の場でもかなり浸透しており、学生らからも「この面接の仕方いいね」など、少なくとも成績表提出よりは、好意を持って受け入れられているようだ。
もっとも、「グーグルはグーグル、ウチはウチ」と、今後の日本の就活に「成績表提出」の動きが浸透する可能性はある。4月から始まった新年度の大学授業の教室では、これまでとは打って変わって熱心に講義に耳を傾ける学生の姿が急増するのだろうか。(NF)