学生が就活の際に身にまとう「リクルートスーツ」。無難な色と着こなしという点で、男女問わず今日(こんにち)では黒が圧倒的に多い。
落ち着いた色であればほかにもあるはずだ。なぜ黒以外はダメなのか、根拠はいまひとつはっきりしない。
バブル世代「保守的な企業ほどグレーでなければならない、と言われた」
マイナビは、内定を手にした男子学生204人、女子学生300人に「就活スーツの色」についてアンケートを実施し、結果を公表した(2013年10月)。男子は、「黒」と答えた割合が77%と断トツの首位。以下「紺」15.2%、「グレー」6.4%と続く。女子の場合、「黒」の独占状態はさらに顕著で92.3%に達する。2位の「グレー」はわずか4.7%だった。
今から20年ほど前、現在40代前半の人たちが就活をしていた頃は、リクルートスーツと言えばグレーや紺だった。ところが最近は、こうした地味な色ですら敬遠される傾向があるようだ。インターネット上の質問投稿サイトを見ると「就活のスーツにグレーってまずいですか」との問いが投げかけられている。本人はグレーを買ったのだが、合同説明会に行くと誰もが黒いスーツを着ていて自分と同じ色はひとりも見かけないので不安になったそうだ。また「バブル時代」に就活をしたという回答者は、「保守的な企業ほどグレーでなければならない」と言われ、黒のスーツを着ようものなら「常識知らず」のレッテルを張られたと当時を振り返っていた。
「AERA」2014年4月7日号は、「黒スーツは本当に有利?」と題した記事を掲載した。黒が主流に取って代わったひとつの理由として、景気を上げている。バブル期は学生側に余裕があり、スーツも好きな色や柄を着ていた。だが景気の落ち込みで企業が採用枠を絞るようになると、学生が委縮して黒を選ぶようになった、と説明する。