「STAP細胞の論文にねつ造、改ざんあり」――。理化学研究所は、小保方晴子ユニットリーダーらが英科学誌「ネイチャー」に発表した論文について、調査委員会の最終報告でこう断じた。一方、小保方氏は「ねつ造」認定に反発するコメントを出しており、不透明な部分も残る。
小保方氏の事案はさておき、過去には研修者によるねつ造に伴う処分事例も報告されている。研究職は、就職先に限りがある「狭き門」だ。処分後に簡単に「次の仕事」が見つかるものではなさそうだ。
米国ではねつ造研究員解雇の事例
小保方氏は米ハーバード大への留学を経て2011年、客員研究員という身分で理研での活動をスタートした。現職のユニットリーダーに就任したのは2013年3月、わずか1年前だ。理研の規定によると「客員」は、「一定の期間、研究所に受け入れる高度な研究能力又は実績を有する研究者及び高度な技術を要する技術者」となっている。永続的な契約ではない。ユニットリーダーも、契約年数が決まっているようだ。それでも念願の研究職のポストを得られれば、将来への足掛かりになる。
博士号を取得しても簡単に職が見つからない現実は、J-CASTニュース会社ウォッチも2014年3月20日配信記事で取り上げた。博士課程修了後の正規の就職者は5割強にとどまる一方、2割弱の人たちが「無職」となっている厳しさだ。
朝日新聞電子版は4月1日、これまでも不正行為が認められ撤回された科学論文は多く、責任者は免職など重い処分が下されていると報じた。米国の若手研究者が起こした事件では、発表された63本の論文すべてが撤回され、本人は研究所を解雇されたという。
ただでさえ険しい「研究者の道」だけに、「論文取り下げ、ねつ造認定」ともなれば、その道が閉ざされる可能性は十二分にありそうだ。
理研は4月1日の会見で、小保方氏がSTAP細胞の論文で画像の使い回しや切り張りといった不正行為をしたと断定し、野依良治理事長は論文の取り下げを勧告すると話した。小保方氏の「単独行動」としてねつ造が行われたという結論だ。本人の処分については、これから話し合われるという。
渦中の小保方氏は、弁護士を通じてコメントを発表した。「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。とても承服できません」と理研の調査結果に反発、ねつ造を完全否定して「対決姿勢」を示している。