豊臣秀吉に学ぶ!?「ムチャ振り」の対処法 「存在感」はこうすれば高まる

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   上司から部下など、上から下へという仕事の発注・受注の関係、構造がある場合、あたかも突然のゲリラ豪雨のように、仕事が降ってくることがあります。ただ、もちろん、振り上手な人は、きちんと計算して仕事を発注します。しかし、多くの上司や先輩は、かなり気安くムチャ振りをしてきます。

   あなたにムチャ振りをしてくる上司や先輩(場合によってはお客様)も、さらに上からムチャ振りをされたかもしれない、という事情はあるかもしれません。そのため、振られる側にとって想定外のタイミングで仕事を発注してくるのですが、その振り方に多くの問題が潜んでいます。

ムチャ振りからは逃れられない

『無茶振りの技術』が3月に発売された
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   では、降って(振られて)きた仕事を断ることができるのか。たいていの場合は、振る側の人間は、その仕事を「この人に振る」と決めているため、振られた側に「ノー」と断る選択肢はありません。大河ドラマ『軍師官兵衛』に登場する、戦国時代を終わらせた時代のリーダー豊臣秀吉も、「主人は無理をいうなるものと知れ」と言っています。

   秀吉は、織田信長に部下として仕えた人物。現代の基準からは想像もできないようなムチャ振りをされていたに違いありません。その無茶なリクエストに高い水準で応えていたからこそ、あれほどの立身出世ができたのでしょう。

   つまり、いつの世も、仕事をしている人は、降ってきた仕事を受け止め、それをきちんとこなして返すことを常にやっています。それは現代の会社においても、いたって普通のことなのです。ただ、どんなボールが上から降ってくるのか、そのボールをどんな環境で、どのタイミングで、どのように受け止めるかが違うだけ。要はとらえ方次第なのです。

   できれば「前向き」に仕事を受け止めたいもの。ただ、それよりも振られてきた仕事を自分が引き受けなければならない、つまりムチャ振りからは逃れられないということは常に念頭に置いておいたほうがいいでしょう。

高い評価につなげるには?

   では、振られた仕事をどのように活かしていくべきか?やはり、高い評価につなげていきたいもの。仕事というものが、ほとんどが振られることによって成立しているのであれば、それにどう取り組むかによって、ビジネスパーソンとしての評価が定まります。

   仕事を振る側の人間はなぜか、振った相手が必ずやってくれるものと思っています。もちろん振り上手な人は、失敗のリスクや、自分の責任を考えることもあります。しかし普通の人は、根拠のあるなしにかかわらず、仕事を頼んだら相手がやってくれるものと思い込んでいるわけです。こうして振られた仕事には、振った人間から見て、大きく分けて3つの結果が生じます。

   1つは、言った通りにやってくれた。世の中には、振られた仕事を「こなす」人が大勢います。「こなす」とは、言われたタスクを過不足なく、無難に片付けること。評価で言えば、「期待値通り」です。振った側の人間にとっては、ありがたい存在ではあるけれど、決してそれ以上ではありません。振った相手に感謝はしても、あくまで振る側の「予想通り」の結果であり、その次も、「まあ、あいつに振っておけば無難でしょ」という感覚で、同じような仕事を振る可能性が高くなります。場合によっては、ただの「使い勝手のいい人」と認識されてしまいます。

   2つ目は、期待通りの仕事をしてくれなかった。この場合、がっかりしながらも、「次はきっとやってくれるはず」と次回に望みを託す場合もあるし、「今回は無理だったのかな」と判断し、次回はもう少し振る仕事のレベルを下げるか、指導をしようと考えるかもしれません。もしくは、「今後頼んだらマズイな」と見切りをつけることもあるでしょう。

   3つ目は、期待値以上の仕事をしてくれた。この場合は、振った側に驚きや感動を与えたことで、振られた側の存在感が増します。「次もまたお願いしよう」と思うだけでなく、「他の仕事もできるかもしれない」「もっとレベルの高い仕事を任せてもいいんじゃないか」と、さらなる可能性を期待するようになります。

期待値以上の仕事をやることが何よりも重要

   いずれも、考えてみれば当たり前の話なのですが、振る側では、その仕事の結果によって振られた側の人に対する仕分けが始まるのです。ここで重要なのは、振った仕事の結果そのものに対する評価はもちろん、まだ振っていない仕事に対する期待値が変わってくるという点です。

   職場において、人は可能性や期待値の高い人材を評価する傾向があります。今の仕事は十分やっているけど、それだけでいっぱいいっぱいだという人よりも、「次に任せたらもっと違うことをやってくれるかもしれない」「今よりもレベルの高い仕事を任せてもできるかもしれない」と期待の持てる人に対しては、当然評価が高くなります。

   振られた仕事に対して、もし期待値通りにきっちりやることを良しと考え、そのように対応していたとしたら、それは大きな過ちです。評価はそれなりに固定しますが、そこで終わってしまう可能性があるからです。周囲に差をつけるには、期待値以上の仕事をやることが何よりも重要なのです。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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