「準エリート」層がふて腐れ 「グローバル研修」からもれ、「どうせ俺らは…」

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   真の「グローバル・カンパニー」になるために、現地法人の外国人と本社採用の日本人の身分格差をなくして、世界同一賃金にする。グローバルで、「ジョブグレード(等級)」を統一にする。子会社を含む全世界の人材を一つのデータベースにまとめて、人事異動をワールドワイド化する「ジョブポスティングシステム」を導入する――。

   今、大手を中心に各企業がグローバル化を急いでいる。

日本の「グローバル人材力」、103か国中21位

研修に参加できず、どうせ…
研修に参加できず、どうせ…

   だが、統計上の日本人の「グローバル人材力」は低いままだ。

   103か国中21位――。アデコグループ、ビジネススクールのINSEAD、シンガポール・ヒューマンキャピタル・リーダーシップ研究所が協同で各国の人材の質を調査した「Global Talent Competitiveness(人財競争力国際調査・GTCI)」が2013年に発表した日本の人材競争力はこの順位だ。

   (ちなみに、上位10か国は、スイス、デンマーク、スウェーデンなど欧州勢が目立ち、欧州以外の国ではシンガポール(2位)、米国(9位)の2か国のみがランクインする結果となった)。

   グローバル人材の育成も、今一歩進んでいない。

   産業能率大学総合研究所の「グローバル人材の育成と活用に関する実態調査 2012年」によると、「グローバル・リーダーの育成がうまく進んでいない」と答えた企業は、「どちらかといえば当てはまる」と答えた企業を加えると76.8%に達した。

   また、「日本の職場のグローバル化対応(外国人社員のマネジメントなど)が進んでいない」という問いかけに対しても、75.9%の組織がYESと回答するなど、各社グローバル人財の育成に課題が山積している様子が見てとれる。

   そこで、グローバル化を急ぐ企業は、優秀な社員の語学力はもとより、国際対応力、リーダーシップを鍛えて「グローバル・リーダー」「グローバル・タレント」に育てようと、研修や育成システムの整備に余念がない。

同期同士の「仁義なき戦い」勃発か!?

   ある大手メーカーの社員は、自社の「グローバル・リーダー研修」についてこう語る。

「人材データベースの中から各事業部の選りすぐりの人材を選抜し、海外の有名MBAのプログラムをそっくり買って同じ内容の研修を英語で行っているそうです」

   彼によると、10年以上前までは、見どころある社員を社費海外MBAに派遣していたが、そのリッパな修士号を取得した後、野心をむき出しに外資に転職してしまう社員が続出したため、最近は社内でエリート研修をするのが経営の意向らしい。

「もっとも、グローバル・リーダー研修に参加できるのは、せいぜい同期の3~4%といったところ。しかも、参加できるかどうかは30代前半で決まってしまう。
   そのため、最近、この3~4%からはじき出された『準エリート』がふて腐れてしまいましてね。そこで、会社は慌てて、国内MBAと提携した日本語による『準エリート研修』みたいなの始めましたが、それすら受けさせて貰えない人が大半だし、その受講者も『どうせ、俺らは二番手』とイマイチ研修に熱心じゃないし。どうしたもんかなぁって感じなんです」

   グローバル・リーダーの座を巡って、同期同士の「仁義なき戦い」が繰り広げられそうな気配なんだと言う。(以下次号、佐藤留美)

佐藤 留美(さとう・るみ)
ライター。企画編集事務所「ブックシェルフ」(2005年設立)代表。1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、現職。著書に、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンク新書)、『結婚難民』(小学館101新書)などがある。
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