社会保険労務士 野崎大輔の視点
対象を最小限にして個別面談を
匿名での内部通報は、相手への連絡が困難で、通報の信憑性から調査が進まない場合があり得るわけです。また、信憑性の点から慎重な対応が求められます。プライバシーの侵害とは業務遂行にかかわりのない、私的領域への干渉があげられます。今回は犯罪者扱いで詰問することもないと思いますし、社内秩序を守るために行うことであるため、不当にプライバシーの侵害をしているということではないでしょう。
会社としては完全に無視するわけにはいかず、A課長に事実確認を行う必要があります。今回のように不確定の情報による調査の場合は、噂が広がらないように意見を聞く相手は最小限にして、A課長の上司と本人にそれぞれ個別面談をすることとなります。上司には事実確認するとともに守秘義務を課すということが重要になります。A課長に対しては、今回の調査に至った経緯を説明して事実確認をすれば良いでしょう。
なお社内恋愛や不倫はプライベートの範疇ではありますが、社内秩序を乱し、就業環境を悪化させている場合は処分を下すこととなります。