名物教授が泣きながら授業で訴えたこと 「大切なこと」「本質」をどう見極めるか

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「戦略」「フレームワーク」より大切なこと

   もう一人の戦略の看板教授、Ahuja教授は「フレームワークは重要だが、もっと重要なのはそれを扱う『人の心』だ」と言い、母国インドで化学工場からの有毒ガスで数万人が亡くなりその命があまりにも軽く扱われた事例を取り上げて、泣きながら「授業で学んだフレームワークを正しく使ってくれよ」と訴えていました。

   最後に、ビジネススクールでは「Business Ethics(倫理)」という授業があります。Hess教授は「一時期ビジネススクールでは倫理を教えなくなったが、悲しいことにエンロン事件やリーマンショックで再び教えることになった」と言います。戦略がどうだ、実行がどうだという前に、その行動は倫理的に正しいのか。たった1回の個人の非倫理的行動が組織の中で習慣化し、さらにはやることが当たり前になり「組織の腐敗」につながることがあります。身近な例で言えば、違法ソフトウェアを誰かがダウンロードするとそれが組織に広がって、逆にやっていない人の肩身が狭くなるという感じでしょうか。

   周辺情報やストーリーといったコンテクストを通してコンテンツを見てしまうのは人間心理として当然。コンテクストに惑わされないために私たちができること、それはたった二つで、一つは私たち自身が「『響きのよさ』に惑わされず本質を見抜く習慣をつけること」。そしてもうひとつは私たち一人ひとりが組織、社会が腐敗してしまう前に「倫理的な行動を心がけること」だと思っています。(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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