「意識が高い学生」が就活で撃沈 「世界一周」すら役にたたない理由

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   意識が高い学生というのがいます。意識が高いというのには2つあって、一方は意識も高く実行力もあってとても素晴らしい学生もいるのですが、今回取り上げるのは意識だけが高くなってしまっている学生です。

   高い目標を掲げたり、社会に貢献したり、企画を行ったり、一見するととてもアクティブで良いとおもうのですが、なぜかズレてしまっています。

「意識が高い」にも2通りある

世界一周はしたけれど
世界一周はしたけれど

   意識が高いからいいじゃないか、意識が低いよりもぜんぜんいいという意見もあります。でも、そうでもないのです。今回はこの点を取り上げます。

   意識と対をなすのは、実行力です。

   意識の高い低いと、実行力のありなし、で2x2のマトリクスを作ってみます。

「意識が高くて、実行力に伴う人」

   これは、パーフェクトです。イチローみたいな人材です。目標を高く持って、子供の頃からトップを目指すためにはどうすればいいかを考え、努力を一日たりとも惜しまない。こういう人材は満点です。

   次に使える人材はどのタイプでしょうか?意識が高くて、実行力がないひとでしょうか?いや、「意識は高くないが、言われたことはやる」タイプのひとです。

   意識は低いけど、まずは言われたことからでもいいので、コツコツ実行できている。それなりに仕事はこなす人。これは、使いやすいのです。

   意識が高く、実行力が優れている人材だけで組織を作れればいいのですが、それはなかなか難しい。そこで、組合せ論になります。

「意識だけ」高い人の特徴

   そこで組み合わされるのは、意識が高くて実行力がある人材と、意識はさほど高くないが実行が確実な人材です。

   となると、使いにくいタイプが2つでてきます。

   ひとつは、「意識が低く、実行もできない」タイプ。これはまずい。意識は低いままでいいので、言われたことはこなすようなタイプにならないと、生き残れません。

   もうひとつは、「意識だけは高いが、実行が伴わないタイプ」です。これは、難しい。意識は高いけど、実行がちぐはぐな人は、組織として使いようが無いからです。

   意識が高くて実行がちぐはぐという人は、わたしが観察していると、次のような特徴があります。

(1)やりたい事が壮大な割には、自分で考えたものではない(流行っている目標)
(2)やりたい事を実現するステップが、割合一足飛び(ショートカット志向)

インプットを自慢しても、実績にならない

   最近、学生の世界一周が流行っています。一昔前の世界一周は、バックパッカー旅行で、如何に安く旅行したか、いかに危ないところにいったかといった旅の技術を自慢していましたが、現在の世界一周は、世界で起業している有名な人に会いに行く旅です。

   シリコンバレーの投資家や、アジアの社会起業家などの元を訪れて、話を聞く。そして意識を高めていくという旅です。

   しかし、余りに流行ってしまったので、スタンプラリーのようになってしまっているとも聞きます。有名人にあった数を競って、有名人の話で悦に入ってしまう。

   本当は、世界一周から帰ってきて、その経験を活かして何をするかです。世界一周したこと自体がスゴイわけではありません。それは単なるインプット。そのインプットを、アウトプットに変えられないと、評価される人材にはなれません。

   面接で、世界一周したこと自体を喋って撃沈するのは、そういうことです。インプットを自慢しても、実績にならないからです。

   こうした内容を含め、仕事選び、就職のヒントに関して、拙著『英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?』という電子書籍に考えを纏めています。もし、就職で悩んでいる方がいれば、手にとっていただければ幸いです。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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