「社長の孤独」とマネジメント・スキル
その後、件の部長から、C社長が社員を引き連れて噂のお店に行ったと聞きました。
「健全そうなお店で安心しました。年輪を感じさせるあのママの人柄なら、社長が愚痴聞き相手を求めて足繁く通う気持ちも分かりましたし、僕らももっと社長に腹を割って相談してもらえる環境を作らなくてはいけないと思いました」
と、噂事件はいい方向に転じて終息したようでした。
どんなにアットホームな会社でも、どんなに小さな会社でも、社長と社員が全く同じ感覚ではモノを考えられないのは普通であり、「社長の孤独」は必ず存在します。愚痴を話す相手が飲み屋のママであるか否かは別として、私自身も銀行を辞めて自分の会社を運営してみてそれを初めて実感できました。その孤独感を社内の人間関係で悪い方向にぶつけることなく、時には第三者の力を借りながら上手に対処していくことも、経営者にとっては重要なマネジメント・スキルのひとつであると感じています。(大関暁夫)