臨床心理士 尾崎健一の視点
多様な人材の活用のために個人事情へも配慮を
契約書内容の如何よりも労使双方の事情や希望を優先して、落とし所を見つけていた時代もありました。契約書をもとに決定することに重心が移りつつあるのは、時代の変化と言えます。同様に、多様な人材に働いてもらわなければ会社が立ち行かなくなっているのも時代の変化です。
このケースの様に、辞令が出てから転勤を知るのでは自分の生活への準備もできません。事前に本人への打診や意志確認をする必要があったでしょう。これでは個人事情への配慮がないと言われても仕方なく、本人や周りの人のモチベーションを下げることにもつながります。
また、法的根拠を加味するなら、育児介護休業法第26条の「子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」の項を検討する必要があります。
いずれにしても、多様な人材の活用と離職防止のためには、個別の事情への配慮が必要な時代になるでしょう。