博士後期課程に進学するとかえって就職難しく
さりとて、一般企業への就職も「いばらの道」のようだ。京都大学で教育、研究に従事するという「DreamChaser」氏のブログに、興味深い記述があった。工学系では3年間の博士後期課程に進学する学生が少ないが、その理由として「3年間で鍛え上げた能力を評価して特別に良い条件を提示してくれる企業はほとんどない」点を挙げている。それどころか、博士後期課程に採用枠がない企業すらあり、進学するとかえって就職先の選択肢が狭まる恐れがあるというのだ。
博士が企業受けしない理由として耳にするのが、「狭い専門分野に閉じこもって他の仕事をしようとしない」ことだと同氏は明かす。加えて「定着率が低い」という話も聞いたそうだ。人材育成しても離職率が高いとなれば、企業としては積極的に採用したくないのは理解できるというわけだ。
日本経済新聞2012年11月1日付の記事では、博士を企業に売り込もうと取り組む大学が増えていると紹介していた。企業の人事担当者を呼んで研究内容を発表する「逆求人セミナー」の開催といった事例が挙げられている。半面、博士の専門性が企業ニーズと合うケースは少なく、就活生のコミュニケーション能力などを上げるセミナーを実施する大学もある、としている。
この記事からすでに1年以上が経過しているが、企業業績の改善とともに博士の採用枠も拡大するだろうか。