すぐに役立つ英語コミュニケーション術 発音は「ケンコバ」並みの低音で!?

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   ニューヨークで働くあるクリエイティブブティックの方が「世界で仕事をするために必要なのは英語力『だけ』」と書いているのを読んで、共感を覚えました。MBA、特に英語の得意なインド・フィリピン等を除くアジア人の間では、卒業後のキャリアとして

(1)働く国・地域を変える(主にアジアから欧米へ)
(2)MBA前と違う職種に就く(ファイナンスからマーケティング、コンサルから投資銀行など)

の2つのうち、ひとつなら何とかなるが(1)(2)両方となると難易度が高い、と言われています。特に(1)。外国人労働ビザの数の問題もあるのですが、圧倒的に問題になるのは英語力です。いや、MBAで2年学べば英語力自体は鍛えられているので、正確に言えば「英語コミュニケーション力」かも知れません。上記の記事で言えば、日本の当該領域で相当の実績を積んでいて「英語コミュニケーション力」さえあれば、国を変えて仕事ができるということです。そこで今回は、「話しかける」「問いかける」「聞き取る」「話す」の4つの面から英語コミュニケーションで気を付けていることをご紹介したいと思います。

名前を覚える、そんなシンプルなことが大切

4つの英語コミュニケーション領域を鍛えよう
4つの英語コミュニケーション領域を鍛えよう

   まず、話しかけるときに重要なのが「記憶力」です。何かというと、「相手の名前を覚える」力です。アメリカに来て驚いたのが、あいさつで必ず相手の名前を呼ぶことです。一度会って自己紹介したら、アメリカ人は何とほぼ名前を暗記しています!その後のあいさつは「How are you, Ken?」「Hi, Ken!」「What's up, Ken?」となるわけです。

   日本だと、「この人の名前なんだっけ?」と思いながらも、プライベートなら「こんにちは」、仕事なら「お疲れ様です」とお茶を濁すことができるのですが、こちらではそうはいきません。私も最初、全く同級生の名前を覚えられず苦労しましたが2年目になって慣れてきました。名前を呼んであいさつするだけで親密さが格段にアップします。

   次に、「問いかける」質問力です。以前、授業やミーティングで「質問しないのは興味がないのと一緒」と書きましたが、コミュニケーションを深めるためには、質問して話を聞いて相手を理解するプロセスが欠かせません。授業であれば教授に対して、面接であれば受験生に対して、ビジネスなら初めて食事に行く取引先に対して、「これを知りたい!」という質問を事前に5つくらい仕込んでいきます。質問に答えた後には「で、あなたはどうなの?」と聞き返されるはず。「自分の話をしたいときは質問から」と言えるかもしれません。

聞きながらつぶやくシャドーイングが効果的

   「相手の話が聞き取れなければ、そもそも会話にならない!」という意見はごもっとも。そのために「聞き取る」ためのリスニング力を鍛えましょう。私は日本にいるときから「シャドーイング」でトレーニングしてきました。英語を聴きながら、ほぼ同時に、同じように自分の口を動かすというトレーニングで、検索すれば関連書籍が色々見つけられるはずです。

   最初は実際に聴いている音をコンマ数秒遅れで復唱しながら、慣れてくれば音を出さずに口だけを動かしながら、最終的には口を動かさずとも頭の中で聞いている話を復唱できるようになります。私は日本で通勤中に小声を出しながらやっていましたが、不審者に思われるので注意が必要です(笑)。

   今でも、特に授業や講演などで、シャドーイングは役に立っています。前日、予習で夜ふかししたために授業で集中力が続かない、講演で長い話を聞いて注意力がそがれてきた、そんなときに一字一句逃さぬように頭の中でシャドーイングをしてみると集中力が戻ってきます。

   最後は、「話す」ための低音力です。2013年夏、日本のあるセミナーで英語でスピーチする機会がありました。セミナー後、出席していた友人が開口一番、「英語は当然上手くなっているけど、話すときの声色が低くて驚いた!」と言っていました。

   アメリカに戻って中国人学生とABC(American Born Chinese、アメリカ生まれの英語ペラペラの中国人)の英語を注意深く聞いてみると、声色が全然違う!そういえば、アメリカのニュースキャスターもお腹から声を出しているような低くて深い声でニュースを読んでいますよね。日本人は英語の発音が平たんだと言われますが、通常のトーンを低くして強調したい部分を高く、強く発音するという工夫をすることで、メリハリがつくのではないでしょうか。さらには落ち着いて聞こえる、自信があるように見えるという利点もあります。イメージとしては、男性であればケンドーコバヤシさん、女性だったら江角マキコさんや戸田恵梨香さんが近いかも知れません。

   ケンコバさんの英語は聞いたことがないですが(笑)、すぐに役立つ英語コミュニケーション術、ぜひお試しください!(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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