「入社数年たって転職したい」
という人の相談を受けることが多くありました。
どういう理由が多いと思いますか?
いちばん多いのが「思っていた仕事と違った」です。
そんな馬鹿な……と思うのですが、みんな入社してみたら、思っていたのと仕事がぜんぜん違うことに気づくのです。
「結局、会社の仕事の内容がわかっていなかった」
そんなの企業が何をやっているかなんてすぐ分かるだろうに、と思うかもしれないのですが、学生にとってはそうでもないのです。
私は、ある青年に会いました。彼は、某航空会社に入社したのですが、配属されたのは機体の整備部門でした。整備士と一緒になって、機体を整備する日々が続きます。
こんなはずではなかった。整備の仕事を恐らくこの先4、5年はすることになるということ。その先には、もっと面白い仕事が待っているかもしれませんが、さすがに余りに長い時間軸に耐えられなくなってしまったようです。
そして「結局、会社の仕事の内容がわかっていなかった」と言っていました。
彼は見切りが早かったので、すぐ転職して、別の会社にいきました。そこでは思っていたとおりの仕事につけたようです。
航空会社というのは、本質を突き詰めると、お客さんを飛行機で運ぶという運輸業です。国際エアラインはイメージはかっこいいのですが、本質的には運輸業なのです。トラック輸送やバス輸送や鉄道と一緒。旅客を運ぶというビジネスです。
彼はイメージの良さと安定感に惑わされ、自分が就職する会社が「運輸業」であるという本質を見失っていたのです。彼はなにかを運ぶということに興味があったわけではないことに気づいてしまったのです。
もし彼が、航空会社が運輸業であることを正しく理解できていたら、携わる仕事も想像できたはずです。