「社員へ暗に自腹強いる」会社は危ない 「自己負担分取り戻す!」と不正リスク増大

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削減した経費の何倍ものしっぺ返しを

   会社としては、営業経費や残業代削減の努力はもちろん大事だが、現場の実態を無視して一方的にやりすぎると、自己負担やサービス残業が増え、従業員の心の中に「会社には貸しがある」「自己負担分は取り戻す」「倍返しだ!」というわだかまりが高まる。それが、モチベーションの低下、会社への不信感、退職率の上昇などの悪影響をもたらす。極端な場合には今回のような不正の温床となって、結局は、会社は削減した経費の何倍ものしっぺ返しを食らうことになる。

   横領はもちろん、自腹も重大なルール違反だということが従業員にどれだけ浸透しているか。従業員に自腹を強いるような状況を放置していないか。この事件を教訓に、経営者は自社の現場の実態を改めて見極め、従業員の意識づけ、規定やチェック体制の見直しに活かしたい。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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