上司がキックバックのやり方を紹介する始末
しまいには、不正の方法を知らない部下が交際費の不足を上司に相談すると、上司がキックバックのやり方と協力してくれる業者を紹介する始末。キックバック不正が最も多発した関西の支店では、OBが経営する外注先があり、元締め的な存在として他の業者や新人営業担当者に指南していたという。
さらに、業者との馴れ合いがひどくなると、先に業者から現金をもらって、後から水増し請求をさせるなど、正に無法地帯になっていったようである。
「こうすればバレない」という機会の認識と「みんなもやっている」という格好の正当化理由を得れば、人はズルズルと不正の坂道を滑り落ちていく。そして、社員の辞書から徐々にコンプライアンスという言葉は消えていき、最後は、キックバックが1つの事務処理方法として組織内で当たり前のように行われるようになってしまう。
「私的な費用を会社に請求してはいけない」。これは誰の目にも明らかだ。しかし「会社に請求すべき費用を自己負担する」ことについてはどうか。従業員は被害者意識こそ感じても不正を犯すという罪の意識はないだろう。ここに落とし穴がある。