「イクメンもどき」は時代おくれ? これからは「ヨザル夫婦」で家庭円満

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   結婚、出産、そして育児といえば、多くの人にとって大きなライフイベントだ。育児に積極的な夫をさす「イクメン」という言葉が浸透して久しいが、まだまだ女性の負担が大きいのが実情だ。働きたいが「出産・育児のため」求職活動をしていない女性は、113万人を超える(総務省・2012年就業構造基本調査)。

   そんな中、子育てをめぐり新たな夫婦のあり方が注目を集めている。「ヨザル夫婦」。リクルートホールディングスが2014年のトレンドキーワードとして提唱したものだが、果たしてどういう夫婦のことなのか。

ヨザルは「動物界のベストファーザー」

ヨザル家族は「抱っこはパパのメインのお仕事」
ヨザル家族は「抱っこはパパのメインのお仕事」

   「イクメン」が、2010年に流行語大賞を取ったことは記憶に新しい。言葉としては認知度がかなり広がったのは間違いないが、必ずしも実態が伴っていない事例も少なくないようだ。妻側からは、夫らに対して不満の声も出ている。

   NHKの情報番組「あさイチ」で2013年4月、「もう一度イクメンを考える」という特集が組まれた。その中で紹介されたのが「イクメンもどき」。ふだんはほとんど育児をしないのに、人前ではイクメンぶりをアピールして「そぶり」をみせる夫のことで、こんな夫が増えているという。

   また、サンケイリビング新聞社の調査(2013年10月発表)でも、夫の育児参加に関連して、妻側の不満が紹介されていた。たとえば「おむつ替え」について、妻は「言わなくてもしてほしい」と強く願っている一方、夫にとっては「やりたくないこと」の1位に上がっていた。こうしたズレに、妻らは悩みや不満をいろいろ抱えているようだ。

「理想の家庭の形は、『ヨザル夫婦』へと進化してきています。共働きが増加し、20、30代の男性からは『仕事の成功よりも家庭に男の幸せがある』という声も出てきています」

   こう説明するのは、育児・マタニティの情報誌『赤すぐ』『妊すぐ』両誌の編集長・佐々木寛子さんだ。

   聞き慣れない「ヨザル」とは、南アメリカに生息するサルの仲間で、「動物界のベストファーザー」と呼ばれているほど、オスが育児に積極的な動物なのだ。

「パパが抱っこをメインでするんです。あと、ベビーの毛づくろいもパパのお仕事。そして野生では珍しいんですが、一夫一婦制です。そうした『ヨザル夫婦』の形が、これからの理想的な夫婦を象徴するのかもしれません」(佐々木さん)

20、30代男性に多い「幸せな家庭つくりたい」

「女性の愛情」と「夫の子育て参加」の関係とは…
「女性の愛情」と「夫の子育て参加」の関係とは…

   佐々木さんが指摘するように、若い世代では「男の幸せ」を考える際、「家庭」を重視する傾向がみられる。明治安田生活福祉研究所の調査(2012年6月発表)によると、「男性の幸せとは何か?」という質問に対して、「幸せな家庭をつくること」という回答が最も多かったのは30代(32.6%)で、20代(30.2%)が続いた。

   一方、「好きな仕事をすること」という回答の最多は60代前半で、2位は50代だった。「好きな仕事」を選んだのは、20代と30代ではいずれも、1割に満たなかった。

   佐々木さんは、

「若い世代は非常にリスク回避志向が強く、堅実に生きていきたいという傾向が現れているのかもしれません。あと、異性に対して見栄をはらない世代でもあります。そんな世代が子どもを持ち始めているわけです」

と分析する。

   東京・足立区在住のOさん夫婦(ともに25歳)は、夫も妻もフルタイムで働いている。長男は1歳3か月で、8か月から保育園に入っている。迎えは夫が毎日担当し、お風呂掃除、洗濯もやっている。妻の仕事が深夜になったり、子どもが病気のときは、夫が1人で育児を担当したりすることもあるという。

   こんなケースとは異なり、夫が育児に不熱心だったらどうなるか――男性にとって恐ろしい(?)データもある。そのひとつである「女性の愛情曲線」(東レ経営研究所・渥美由喜氏作成)は、女性の愛情の配分が、ライフステージごとにどう変わるかを調査したものだ。結婚前後は夫(彼氏)がトップなのだが、子どもが生まれると彼・彼女らにトップの座を奪われる。

   その後、夫への愛情が回復するかは、「子どもの乳幼児期に、夫がいっしょに子育てをやってくれたか否か」と、非常に高い相関関係があるそうだ。「愛情曲線」の図をみると、育児をしない夫は、妻からの愛情は地(座標軸ゼロ)を這うほどに低いレベルのまま回復せず、一層低下する傾向にある。

   若い男性が求める「幸せな家庭をつくる」を将来的にも実現するためには、育児参加は非常に重要な要素といえそうだ。「ヨザル夫婦」を目指す傾向が今後さらに強まるのか、注目される。

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