20、30代男性に多い「幸せな家庭つくりたい」
佐々木さんが指摘するように、若い世代では「男の幸せ」を考える際、「家庭」を重視する傾向がみられる。明治安田生活福祉研究所の調査(2012年6月発表)によると、「男性の幸せとは何か?」という質問に対して、「幸せな家庭をつくること」という回答が最も多かったのは30代(32.6%)で、20代(30.2%)が続いた。
一方、「好きな仕事をすること」という回答の最多は60代前半で、2位は50代だった。「好きな仕事」を選んだのは、20代と30代ではいずれも、1割に満たなかった。
佐々木さんは、
「若い世代は非常にリスク回避志向が強く、堅実に生きていきたいという傾向が現れているのかもしれません。あと、異性に対して見栄をはらない世代でもあります。そんな世代が子どもを持ち始めているわけです」
と分析する。
東京・足立区在住のOさん夫婦(ともに25歳)は、夫も妻もフルタイムで働いている。長男は1歳3か月で、8か月から保育園に入っている。迎えは夫が毎日担当し、お風呂掃除、洗濯もやっている。妻の仕事が深夜になったり、子どもが病気のときは、夫が1人で育児を担当したりすることもあるという。
こんなケースとは異なり、夫が育児に不熱心だったらどうなるか――男性にとって恐ろしい(?)データもある。そのひとつである「女性の愛情曲線」(東レ経営研究所・渥美由喜氏作成)は、女性の愛情の配分が、ライフステージごとにどう変わるかを調査したものだ。結婚前後は夫(彼氏)がトップなのだが、子どもが生まれると彼・彼女らにトップの座を奪われる。
その後、夫への愛情が回復するかは、「子どもの乳幼児期に、夫がいっしょに子育てをやってくれたか否か」と、非常に高い相関関係があるそうだ。「愛情曲線」の図をみると、育児をしない夫は、妻からの愛情は地(座標軸ゼロ)を這うほどに低いレベルのまま回復せず、一層低下する傾向にある。
若い男性が求める「幸せな家庭をつくる」を将来的にも実現するためには、育児参加は非常に重要な要素といえそうだ。「ヨザル夫婦」を目指す傾向が今後さらに強まるのか、注目される。