臨床心理士 尾崎健一の視点
本人承諾の上、周囲に「病気」に対する正しい情報提供を
問題を、「本人の仕事の生産性の低下」と「周囲の人の病気に対する情報の不足」の観点から捉える必要があります。
生産性の変動があるのは病気(または治療のための薬)がどの程度影響しているかを主治医に確認する必要があります。主治医の判断で就労可能とのことですが、主治医も業務の負荷や職場での状況を正しく把握していない可能性もあります。上司や産業保健スタッフから会社での様子を情報提供したうえで主治医の意見を求めましょう。現状の負荷に耐えられないとなれば業務量を減らしたり休職させたりすることも検討します。
一方、周囲の人が病気に対して情報や理解の不足があれば、正しい情報提供が必要です。「病気の特徴」「薬の副作用」「快復の見通し」「必要な配慮」などを産業保健スタッフを中心とした専門家から説明してもらうとよいでしょう。公平性という観点から、周囲の業務量と差が大きい場合は、量と報酬のバランスを調整するケースもあります。
なお、主治医との連携や周囲への説明の際に、本人の同意をとり本人の意思を尊重して行わないとトラブルのもとになりますので注意しましょう。