無責任グローバル世論に惑わされない「自分なりのグローバリゼーション」
一昔前は(1)リーダー層による議論が支配的であったのではないかと思いますが、最近は(4)のボリュームが増えてきているのが気になります。「そうしたほうが売れるから、アクセス稼げるから」という安直な理由で「無責任グローバル」を助長する流れはいかがなものか。もちろん先駆けて海外に行った誰かに影響を受けてもいいし、本やネットの記事に影響を受けてもいいでしょう。しかし、本来「自分のグローバリゼーション」には強烈な内発的な動機があって然るべきだと考えます。
私も「これからは広告会社もグローバル化の時代だ。自分がその先陣を切るのだ」と意気込んで、ある日本発のブランドのグローバル化に2005年から関わったり、BRICsは自分の目で見ないと分からないと思いクライアントとともに各国での仕事をつくったり、アジア8か国でのPR戦略に携わったりしてきました。特にある企業のブラジル進出に関する市場調査は刺激的でした。
しかし、モスクワのプロジェクトで、ロシア人とスペイン人とがっぷり四つで仕事をしたときに、今まで信じてきたやり方が全く通用せず、英語力、チームワーク、リーダーシップ、すべての面で「このままではイカン!」「世界のどこでもビジネスできる能力を身につけないと」と思ったのがひとつのきっかけとなってMBAに行くことにしました。そういう意味では、連載第6回(と7回)で紹介した、6人7国籍のチームで四苦八苦しながらも最終的に提案がクライアントに採用された宅配ピザのプロジェクトや、バンコクでわずか10週間で新会社を設立するプロジェクトは、そのゴールに向けたマイルストーンとなる仕事だったと思います。色々な形の国際化があるとは思いますが、あなたもブレない「自分なりのグローバリゼーション」を追求してみては?(室健)