「あまりに手際のいい対応」は不正を疑うべし!? 経理と監査に緊張感を

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監査が形だけになっていないか

   これは全くの想像だが、監査といっても名ばかりで、「どう、最近元気でやってる?」「はい、おかげさまで」「ええと、どこに印鑑押せばいいんだっけ?」「ここと、ここにお願いします」「わかった。いつも一人で大変だね。がんばってね」という調子で毎回サッと終わっていたのではないか。

   議長会はAを刑事告訴した。横領が事実でその対象がすべて公金だとしたら、女性職員は厳しい実刑処分を受けるべきだし、25年も経理を任せきりにしてきた歴代の管理職、監査人たちも「夢にも思いませんでした」では当然すまされない。

   恐らく、同じような組織が全国各地にあるだろう。すぐにでも「自分たちのところは大丈夫か」という危機感をもって、経理事務にダブルチェックの仕組みがきっちりと組み込まれているか、会計監査が形だけになっていないかなどを徹底的にチェックし直すべきだ。

   そもそも、このような組織を公金で、しかもこんな多額を投入して運営すること自体が必要なのか?県民には、究極の再発防止策である議長会の解散を含め、厳しい目を向けてほしい。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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