2020年の東京オリンピック開催決定で、訪日外国人の増加が見込まれている。実際にギリシャ(2004年)、中国(2008年)では、それぞれオリンピック開催が決まった年から開催年まで、訪れる外国人の数は右肩上がりで推移した。
2013年の訪日外国人数は過去最高の1036万4000人で、初めて1000万人を超えた(日本政府観光局2013年12月発表)。
東京五輪開催決定を追い風に、今後も増加が予想されるなか、迎える側の日本人には対応を迫られる課題も少なくない。そのひとつが「言葉」の問題だ。
英語に自信がある人は「2割」
2012年末の観光庁調査によると、外国人が訪日旅行中に困ったことは「無料公衆無線LAN環境」(36.7%)、「コミュニケーション(言語)」(24.0%)、「目的地までの経路情報入手」(20.0%)の順だった。
特に日本人個人が関係してくる問題は、「コミュニケーション」だ。オンライン英会話を展開するアンフープの調査(実施2013年8月)によると、訪日外国人から英語で話しかけられた経験を持つ人のうち、「英語にとても自信がある」と回答した人はわずか3.9%だった。「まあまあ自信がある」人を合わせても20.1%と4分の1にも満たない。
特に、訪日外国人と接する機会がある「サービス業」の従事者は、既に英語によるコミュニケーションの必要に迫られている。リクルートライフスタイルの調査(同2013年11月)では、48%と半数に近い人が「職場で英語を話せず困った経験がある」と答え、「そのときに語学力をアップさせたいと思った」人は91%にものぼる。今後はさらに、こうした傾向が強まりそうだ。
「語学力をアップさせ、訪日外国人の日本への満足度を上げたいと思うサービス業の方に増えてきたのが、『語もてなし』という動きです」
スクール情報誌『ケイコとマナブ』の編集長・根岸菜穂子さんは、こう指摘する。「語もてなし」とは、2014年の注目キーワードとして、リクルートホールディングスが発表した言葉のひとつで、日本人の「おもてなし」を訪日外国人にも十分体感してもらうために、「語学力」を磨こうという動きのこと。これが、サービス業従事者を中心に広がっているのだという。