マネジメント脳を形成する2つのスキル
例えば今、同時並行で「ある企業にM&Aすべきターゲットを推薦する」というプレゼンを考え、「米大手金融機関の海外でのソーシャルメディア戦略提案」をつくり、倫理観の欠如で起きた不祥事についてレポートしています。帰国後の予行練習さながら「マネジメント脳」を鍛えているのですが、そこには2つのキーとなるスキルが存在すると考えます。
ひとつめは「スケジュール調整能力」。自分のやらなければならないこと/やりたいことをリストアップし、もちろん卒業を最優先しつつも「何が自分の成長につながり人生の財産になるか」を考えながら優先順位をつけ、「考える時間」を確保すべく「断るときは断る」という決意を持ってスケジューリングするスキルです。
もうひとつが「プロセス効率化能力」です。時間が足りないと速読で大意をつかむ必要があるのですが、最初は全く手が出なかったのが、今では100ページ以上あるAnnual Reportの中から必要な情報をある程度のスピードで見つけ出せたりする。また、多岐に渡る課題に同時に取り組むことで脳のスイッチを切り替える能力を養い、チームで取り組む中で「どこまで自分でやるか、どこからチームに頼るか」を判断するスキルを身につけました。
実は、博報堂生活総合研究所では、東日本大震災後「自分で自分を運営する『オペレーションじぶん』という生活者が増えている」と分析しています。自分をオペレートするのは自分であると考え、自分の基準・判断・責任で動き、社会における自分の役割を創り人とつながろうとするという考え方で、英エコノミスト誌でも"Operation Me"として紹介されています。
「グローバル!」と叫んで海外に出ることのみを喧伝することが重要なのではなく、日本人が得意とする集団思考に加えて自立・自律した価値観を持つ人材が増え、そうした人材がグローバルビジネス力を身につけたときに、日本はまた一段ステップアップすることができるのではないでしょうか。(室健)