「裸の王様」社長は「人を見る目なし」 イエスマンに囲まれ「浮かれて木登り中」

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経営リスク「裸の王様症候群」

「うちのソフトがヒットして、やれ出資だ上場だと、いろいろな連中が知り合いを介して随分やってきました。社長は30代の若さでヒットソフト開発をした即席カリスマのワンマンですから、おだてられてホイホイ木に登っていましたね。私も含めて周囲は、この人は能力は高いけど人を見る目はないなと、思ったものです。人は良いということなんでしょうけど。結局、様々な業界の何人にもいいように騙されてその度に振り出しに戻る、そうこうするうちに業績が停滞して上場は見送りになりました」

   それまで上場の恩恵にあずかろうと黙って付いてきていた連中は続々去ったといいます。要するに本気で社長を支えて会社を成長させようという社員は少なかったということ。そんなバタバタの中で創業直後から一緒にやってきたナンバー2のTさんも、人の登用をめぐって社長との折り合いが悪くなり辞任したのでした。

「いくら人が良くても、人を見る目のない人は力があっても見込み違いの人物に足元をすくわれますから、そういうトップにはついていけません。カリスマとおだてられて、結局自分を持ち上げる人の意見以外耳に入らなくなる。会社の誰もが"裸の王様"と知りながら、『王様は裸だ!』と童話のようには誰も言わない。そんな会社は早晩おかしくなりますよ。耳の痛い話に聞く耳を持たなくなった経営者は危険信号です。私もそれで身を引いたのです」

   気がつかないうちに、おだてられて大切な資産を無駄に投資してしまったり、口のうまい悪人にいいように騙されてしまったり、能力のない人間を登用して優秀な人間に逃げられてしまったり、社長にとって「人を見る目」はマネジメント能力の中でもかなり重要度が高いものなのです。私はこのようにワンマンで周囲から持ち上げられて喜び「人を見る目」を失っている経営者を、「裸の王様症候群」と呼んで経営リスクとして喚起しています。

   あなたの会社のトップがカリスマやワンマンで社内がイエスマンばかりになっていたら、「裸の王様症候群」を疑い、手遅れになる前に治療の必要を真剣に考えなくてはいけないでしょう。(大関暁夫)

あなたの会社のトップは「裸の王様」ですか?
裸の王様です
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微妙
その他
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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