その決断の「質」を疑え! 経営で陥りがちな6つのバイアス

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   今回は、組織論の授業で学んだ「経営の決断で陥りがちな6つのバイアス」を身近な分かりやすい事例と合わせてご紹介します。

   さて、まずちょっと質問です。A:100%の確率で5万円得る、B:50%の確率で10万円得る。あなたなら、A、Bどちらを選びますか?恐らくAと答える人が多いのではないかと思います。

社長の肝煎り案件だからとついついのめり込み過ぎて…

その決断、気づかないうちに歪んでいませんか?
その決断、気づかないうちに歪んでいませんか?

   ではC:100%の確率で5万円失う、D:50%の確率で10万円失う、だとどうでしょうか?今度はDを選ぶ人が多いのではないかと思います。これをFraming Effectというのですが、期待値はどの選択肢も5万円で同じなのに、何かを失う局面では人はRisk Seeking(リスク好き)になり何かを得る局面では人はRisk Averse(リスク嫌い)になる、という人間の陥りがちな心理を表しています。こうした「判断を歪めるバイアス」はそこかしこにあふれています。

   ふたつめのバイアスは「Escalation of Commitment」です。これは「私たちは過ちに気づかず(もしくは過ちを埋め合わせるために)コミットを深めてしまう」というもの。例えば、社長の肝煎りでスタートした案件なので、最初に大きな投資をしてしまった。途中から雲行きがあやしくなってきたが、いつかは好転するのではないかと深入りしてしまって、結果、やらなかったとき、もしくは途中で撤退したときより大きな損失を被ってしまった…。あるある!

   続いては、「Anchoring」です。これは、「私たちは最初の一手に縛られがちである」という考え。「本当はこの事業、もう少しお金を使えばもっと良くなるんだけど、予算をXX億円で決めちゃったからその範囲で何とかしなきゃ」と突っ走ったら最終的に成果が出なかった…。あるある!

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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