MBA男が入札前日になって泣き出した! 「こんな仕事、重荷過ぎてできません~」

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「東大君」が、「まだ偏差値が足りないからだ」とばかりに資格に走る

   石を投げればMBAに当たると言われるコンサルティング業界で活躍する上級幹部はこう語る。

「今日び、海外や国内でMBAを取得しようとする人は、主に二つのタイプに分かれます。一つは、青白き秀才君。"東大君"が外資コンサルなどに入って、うまくいかなくってクビになり、うまくいかなかったのは『まだ偏差値が足りないからだ』とばかりに、資格やMBAに走るパターンです。彼らは、自分が仕事でうまくいかなかった理由が、学力・知力以外の部分にあることを受け入れられない。だから、学力の上塗りをしても、『飛べないスーパーマン』になるだけ。いくらスーパーな知識やワザを持っていても、飛べなかったら意味がない。知識があっても、実務ができなければ意味がないのです」

   ある商社のマネジャー氏も、ガラパゴスMBAを取得した部下の働きぶりに、頭を抱えている。

「ウチじゃTOEIC満点のMBAなんてザラですが、決まって全員使えない。最近は、同期が集まると、『俺、アイツをイチオシで採用しちゃったからさ~、人を見る目がゼロだよ』と自虐ギャグの対象になるほどです。先日も、ある入札案件の前日になって、仕事を任せていた30歳のMBA男が、実は入札の実務を何にもしていなかったことが判明しましてね。毎日、何度も『あの入札の作業、進んでいる?』と聞いては、『はい! やっています』という返事が返ってきていたにもかからずこの有様で、まるで詐欺にあったくらいに呆然としていたら、いきなり、『ボクには、こんな仕事、重荷過ぎてできません~』とオフィスでおいおい泣き出しました。結局、事務職含めて部員総動員で、彼の穴埋めのために徹夜するハメになりましたよ」

   飛べないスーパーマンどころか、泣き虫スーパーマンでは目も当てられない。(佐藤留美)

佐藤 留美(さとう・るみ)
ライター。企画編集事務所「ブックシェルフ」(2005年設立)代表。1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、現職。著書に、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンク新書)、『結婚難民』(小学館101新書)などがある。
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