「初対面客から1時間で契約書に印を」 目的意識あれば、やってやれないことはない

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常にゴールを見据えながら

   一方で、こんなうっかりミスもありました。その日は初回訪問ながら、お客様は俄然、やる気になってきました。

   そこで、その場で提案書を作り、カバンを開けたら、中に契約書が入っていません。焦る私を社長がやる気満々で見ています。

   私は社長に、「すみません、紙をもらっていいですか」と言い、コピー用紙に社名、金額などを書いて、「社長、ここに拇印を押していただけますか? 後で正式な契約書と差し替えますから」と言って押してもらいました。それを横で見ていた社長の息子さんは、「この営業マンはヤクザなんじゃないか」と思ったそうです。今となっては笑い話ですが、準備不足によるミスでした。

   要するに、営業のプロセスを把握して、前に進めることが大事なのはもちろん、進みすぎた場合にも備えておくことが大事なのです。

   営業の仕事は、営業のプロセスを前に前に進めていくことによって商談が成立するので、すごろくのようなものです。そして、すごろくと同じように、途中で前に進まず、1回休みがあったりします。場合によっては、1回戻ることもあります。契約寸前までいっていたのに、担当者が変わった場合などです。後任の担当者は、自分のことを全く知りませんから、もう1度、ふりだしに戻って始めなければいけません。

   いずれにしろ、大事なことは営業のプロセスにおいて、常にゴールを見据えながら、自分が今、どの段階にいるかを把握することが大切です。そうすると、自分がやるべき行動が見えてきます。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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