社会保険労務士 野崎大輔の視点
不利益変更と言われても気にする必要はない
今回の件は、社員が反対していたとしても問題ありません。オフィスをどこに移転しようがそれは会社の経営権として自由であり、法律で制限できるわけでもありません。
「通勤時間が倍になるから嫌だ」とか「昼食代が上がるから」といった理由をいちいち聞いていたら、世の中の会社は引っ越しができなくなります。オフィスの移転が労働条件の不利益変更に当たるかどうかという視点で考えてみましょう。労働条件は、雇い入れ時に雇用契約を結ぶ際に定められています。例えば労働契約の期間、就業の場所、従事すべき業務、休日、賃金、退職金などが該当します。労働条件を現状より下げる場合は不利益変更となり、原則として社員の同意が必要になります。
今回は、就業場所の変更に該当するかと思いますが、移転は経営権での範囲でのことであり、社員に恣意的に嫌がらせをするという目的でやっているわけではありません。社員から不利益変更と言われても気にする必要はないと思います。