この冬、アメリカ全土が大寒波に覆われています。特に私のいる中西部はマイナス25℃まで記録。数分外を歩くだけでまつ毛と鼻毛が凍り始めます。先週に至っては「気温が低すぎるので学校閉鎖。外出は控えるように」という戒厳令が出る事態まで発生…。
そんな極寒の地に住む私たち学生の心を熱くするのが大学スポーツ!今週はミシガン大学がその名を轟かせているカレッジ・フットボールとバスケットボールについて紹介します。
フットボールのある日はミーティング拒否!街も止まる
まずはアメリカの人気スポーツランキングで、NFL(フットボール)、MLB(野球)に続いて第3位に位置するカレッジ・フットボールから。普通の日本人留学生と同じように、私も渡米する前はフットボールのルールすら知らなかったのですが、アメリカに住んでいてフットボールのルールを知らないのは「宇宙人ですか?」くらいの扱い(笑)。今では渡米したての中国人・インド人留学生を連れて行って、スタジアムでルールや観戦の楽しみを教えるほどになってしまいました。
ミシガン大学はミシガン州アナーバーという街にあるのですが、街の中心に鎮座するのがフットボール用の「ミシガン・スタジアム」。チームはナショナルチャンピオンに輝くこと11回、そして通算910勝は全米最多。「街の人口は約11万人なのにフットボールのスタジアムの収容人数が約11万人」「200試合以上観客動員10万人超えを続けている」という事実を知ったときは衝撃を受けました。フットボールのホームの試合がある日は、誰もミーティングを設定しません。また、街の中心部の交通は完全にマヒします。家族サービスより、恋人とのデートより、勉強より、まずフットボール…。
多くの学生が年間チケットを買っているのですが、近隣の宿敵ミシガン州立大学やオハイオ州立大学、その他強豪大学との試合のチケットはオークションサイトで正規料金の数倍という高値で売買されます。ということで、いわゆる「転売厨」もいっぱい発生します(笑)。今年度のフットボールは元日のゲームで幕を下ろしたのですが、替わってヒートアップしているのがカレッジ・バスケットボールです。
今、ミシガンのバスケが熱い!出身校への熱い声援
2013年、長い眠りから目覚めたのがミシガン大学男子バスケットボールチーム。全米各地区のレギュラーシーズンの成績優秀チームが出場権を得るNCAAトーナメント(春のセンバツに近いイメージでしょうか)で、25年ぶりに決勝に進出するという快挙を果たしました。このときは街が興奮の渦に包まれ、スポーツバーは試合開始の4時間前には満員御礼という状況でした。おかげで試合が始まるころにはみんな泥酔!準決勝勝利後にはスポーツバーにテレビの撮影スタッフが来訪。私も酔っ払った勢いで英語インタビューに答え、FOX Newsで全米デビューしてしまいました。現在はトーナメント前のレギュラーシーズン真っ盛り。シーズン序盤こそ苦戦しましたが、ここに来て全米ランキング(毎週変動)トップ10内のチームを3試合連続で破って我々もトップ10入りを果たしました。
なお、ミシガン大学のスポーツ観戦時の掛け声は「Go Blue!」。世界中で、ミシガン大学の卒業生だと分かった瞬間この合言葉で意気投合することは間違いありません。言うなれば、早稲田大学Tシャツを着た人を見つけて一緒に「都の西北」を歌い始めるくらいの勢いでしょうか。
ミシガン大学に限らず、アメリカ人のスポーツに関する母校愛・郷土愛は半端ないと感じます。ごく少数の大都市に人口も経済も集中している日本より街が散在しているおかげで「おらが街」の意識が強い。なので、早慶戦のような「宿命のライバルの戦い」が色んなところで毎週起きていて、それが在校生のみならず全米に散らばった各校の卒業生を巻き込んで全土の話題になっている、そんなイメージを抱きました。
大学のブランドグッズもスポーツ人気に大きな役割を果たしていると感じます。ミシガン大学のカラーはMaize(黄色)&Blue(青色)。日本で大学ファッションを着るのは気恥ずかしいですが、こちらではミシガン大学ファッションに身を包んだ在校生・卒業生でスタジアムが一杯になります。小さい街なのに、大学グッズの専門店が5つ以上もあり、みんな自宅に「ミシガングッズ・コレクション」ができています。というわけで、熱いスポーツの盛り上がりを肌で感じたい方は、ぜひミシガン大学を訪れることをお勧めします!(室健)