読者の周囲に、こんな人は、いないだろうか?
「グローバル人材にならないと生き残れない」とか言って、仕事よりTOEICのスコアアップに力を注ぐ人。
「個人のキャリアのほうが、会社の寿命より長い」だとか「自分の価値は幾らなのか知りたい」とか言って転職エージェントに登録し、絶えず"キャリアアップ転職"のチャンスを伺う人。
「意識高い系」と呼ばれる人たち
人事考課の時期、「評価が不満」だと上司に噛み付き、挙句、職場での居心地が悪くなって、「いつでも転職できるスキルを鍛える」なんて言って国内MBA通いを始めた人。
「人脈こそ資産」とか言って、5時起きで朝会に足繁く通い、そのせいで午後にはガス欠している人。
「5年後食える仕事」とか「新しい働き方はコレだ」みたいなタイトルのビジネス書や自己啓発書に目がなく、その「まとめ」をブログやツイッターにアップしては悦に入っている人。
残業をパスしてでも、「これからのキャリアを考える」とか「今後の女性の働き方」みたいなタイトルのセミナーに大枚はたいて通う人。また、その感想を得々とフェイスブックに上げる人。
休職願いを出して、最近、会社に来なくなったと思ったら、いつの間にか、資格を取得し独立するといって辞めて行った人……。
彼ら彼女らは、一様に、「昨日より今日、今日より明日の自分が成長していたい」と成長意欲が高い。
時には夢を手帳に書き込み、エクセルで人生プランを作る程に上昇志向、キャリア志向が強く、戦略的だ。俗に言う、「意識高い系」と呼ばれる人たちである。
ごリッパとしか、いいようがない。
だが、彼ら彼女らの、実際の「活躍ぶり」は、どうだろうか?
スキルアップの成果は、着実に出ているだろうか?
周りにそういう「意識高い系」の人がいる、という読者のなかには、首をひねる人も多いのではないか。
本連載では、こうしたスキルアップに余念がなく、勉強熱心で、実際スキルも高いのに、なぜか報われていない人を「飛べないスーパーマン」と命名。彼ら彼女らの現状に迫るとともに、なぜ、高いスキルを獲得しても、飛躍できない人が多いのか――その、背景と理由に、迫りたい。もっと素朴に、「目の前の仕事」に真摯に取り組む方が、学ぶことや得るものは多いのではないだろうか?