米国メジャーリーグ、ニューヨークヤンキース入りが決まった田中将大投手の契約内容が反響を呼んでいます。ニューヨーク・ポスト紙によると、総額1億5500万ドル(約161億円)の年俸は、メジャー投手全体で歴代5位にランク。
そんな金額に対して、同僚であった楽天イーグルスの選手たちは「当然のこと」とコメントしている。(心の中では羨ましい、ビックリと複雑な心境の選手もいるだろうが)そんな高評価の原点となっているのは、伸びしろではないか?
「課題がみつかりました。次回は頑張ります」
昨シーズン24連勝しても満足するコメントは皆無。あくまで高みに目標を掲げて、その実現のために課題を解決する姿勢。だから、メジャーでもさらなる成長が期待されて、サプライズな契約が出来たのでしょう。
でも、世の中では「自分の仕事ぶりは現状で満点」と断言する人も少なくありません。それは、如何なものでしょうか?自分に満点をつけるということは「もう成長しません」と言っているに等しい。あるいは、「もうこれで十分です」と宣言しているようなものです。少なくとも、職場では周りの人はそう判断します。逆に、自分に満点に達しない点数をつけるということは、「まだ伸びしろがあります」という自己アピールになります。謙虚さの表れなのですが、同時に「私はまだまだ上に向かってがんばっていきます」という貪欲さを公表していることでもあります。一般的な「謙虚」という概念とは若干異なるのです。
経験を振り返ると、10年前くらいまでは、今の自分に満点をつける若者はあまりいませんでした。多くの若者は常に上を目指し、現状に満足していなかったからです。目指す高みに比べれば、今の自分にとても満点なんかつけられない。それが普通でした。ですから私は、今の若者たちが自信たっぷりに自分に満点をつけてくることに、大きな危機感を覚えています。
「満点」は、強味でなく「停滞の予感」に
こういうと、「自分の強みを正々堂々と相手に見せて何がいけないんだ」と考える人もいるかもしれません。しかし、自分に満点をつけてしまうと、相手に伝わるのは「強み」ではなく「停滞の予感」になってしまう可能性があります。「私はすでに完成形です」「もうこれ以上は成長しません」と言っているように受け取られかねません。
「私はまだまだです」と言った方が、「もっともっと成長します」と主張していることになるのです。ここが重要なポイントです。
そういう気配りができれば、自分を売り込んでも損はしません。まず自分が成長過程にあることを打ち出した上で、能力、やる気、条件などを伝え、相手にとって自分を使う場面がイメージできるようにインプットしましょう。(高城幸司)