臨床心理士 尾崎健一の視点
判断するのは労基署。手続きの手伝いまではしても良いのでは
「業務に役立つとして取得が勧められる資格」と「昇進の要件になっている資格」とでは、本人が受けるプレッシャーに違いがあります。「昇進にかかわる」など会社の強制力の程度によって、会社の指示であったかなかったかは判断されるべきでしょう。今後は、会社の強制力が強いものについては、資格のための勉強が就業時間外や社外であっても労働時間に換算するかどうかを議論し、社員と合意するプロセスを持つと良いのかもしれません。
今回のケースは、うつ病の発症が取得へのプレッシャーに関係があるかどうか、および勉強のための時間が労働とみなされるかどうかが判断されることになると思います。その判断は、労基署がすることになりますので、申請の手続きの手伝いまではしても良いのではないでしょうか。
いずれにしても、労働時間を管理することは、残業手当などの報酬という観点だけでなく、健康配慮の観点からも重要となります。更には労使の信頼関係構築と生産性低下防止のためにも、今回の件を、改めて現在の「時間管理が適正かどうか」を見直すきっかけにしましょう。