スピーキング「世界最低点」から始める英会話 「10個の自分ネタ」を武器にする法

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   ネット上の英語に関する記事を読んでいると「英語は通じさえすればいい」という意見を見かけます。もちろん、海外旅行に行ってレストランで食事してお土産を買って…ぐらいであれば、数字と身ぶり手ぶりプラスアルファでも何とかなるでしょう。しかし、ビジネスではどうでしょうか?

   恐らく、日本人が一番不得意に感じるのはスピーキングでしょう。昨今大学受験や公務員試験への導入検討でTOEFLが注目されているのは、リーディング、リスニングに加え、スピーキング、ライティングが評価されるから。TOEFLは120点満点で、4セクションそれぞれ30点満点となっています。

スピーキング、驚愕の世界最下位

漫然と話すよりも「ネタ帳」づくりを!
漫然と話すよりも「ネタ帳」づくりを!

   そんなTOEFLの2012年の公表データが衝撃的です。基本的には留学を志す人が受験している、さらに受験料が2万円前後ということを考えると、それほど準備していない人が受けるとは思えないのですが、日本人のスピーキングの平均点は17点で約160か国中、堂々の世界最下位(同点でベナン)!

   「主流はアジア英語になるので下手でも構わない」という意見もありますが、世界で一番英語で話すのが苦手な人たちが、海外に出て円滑にビジネスができるでしょうか?ここでは私が体験した、そしてMBA留学中の友人たちと話して感じた「上達法」を伝授します。英会話をやっているのに上達しない、そんな方はトライしてみては?

   私も日本にいるときにSkype英会話レッスンを行っていましたが、週に数十分~数時間、漫然と話しているだけではそう簡単には上手くならないというのが実感です。そこで、一度「お笑い芸人」になったつもりで自分の「ネタ帳」を作ってみましょう。ひとつのネタにつき100ワードから200ワード(英語では文字数ではなく単語数で文章の長さを測ります。Wordで自動的に計算してくれます)、つまり1分~2分のネタを書いてみましょう。

日本人の文法能力は高い

   重要なことは、「日本人の文法能力は高い」ということです。TOEFLのライティングや、GMATのSentence Correctionといった文法力が問われるセクションは日本人にとっての得点源です。大学受験レベルまで英語を学習した人なら、辞書で単語を調べながら書くだけでもそれほどおかしな文章にはならないはずです。

   仕事の紹介。家族の紹介。出身地の紹介。将来の夢。尊敬する人物。海外に旅行した経験。好きな本、映画、音楽、スポーツ(できれば外国の人も知っているもの)。最低10個の「自分のネタ」を「書き下して」準備しておくだけでも、相手との信頼関係を築くためのコミュニケーションに十分役立つはずです。書き上がったら、バイリンガルの友人、ネイティブの知り合い、いなければSkypeなどの英会話レッスンで、文章をチェックしてもらって、音読してもらって、話せるようにしましょう。

   また、商品やサービスを売ったことがある人なら「何度も説明しているうちにスラスラ話せるようになった」という経験を持っているのではないでしょうか。英語も同じです。皆さん、アメリカ人のプレゼンテーションを見て「プレゼンうまい」と思っているかも知れません。でも、基本的に彼ら、スクリプト(台本)ありですから!パワーポイントの画面下のノート部分に原稿を書いて、プレゼン前に時間をかけて準備している姿を何度も見ました。「本番前の1日はプレゼンの練習に充てたい」なんて言われたりもします。

   私は前述のネタを自然に話せるようになるまで歩きながらボソボソと自主練習したり、英会話レッスンで日常会話に「ネタ」を入れ込んだりしながら反復練習していました。この話をするとこういう追加の質問が来るんだなあ、とか、このネタはここを補強するともっと面白くなるんだなあ、とブラッシュアップしていくうちに、予想もしなかった質問にも「ネタ」を紐づけて答えられるようになったりします。それでは、Good Luck!(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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