採用に時間とカネをかけず入社させる「甘い誘い」かも
業種ごとの3年後離職率の違いも、あらかじめ知っておいた方がよい。厚労省のデータによると、「宿泊業、飲食サービス業」は51.0%、「教育、学習支援業」48.9%など、比較的高いのはどこかが分かる。
ほかにも注目すべき項目がある。そのひとつが、採用選考プロセスだ。「適性試験なし、面接1回」という「甘い誘い」には裏があるかもしれない。「採用に時間とお金をかけずに入社させ、入社後の早い段階から高い成果を要求して、その要求にこたえられる人だけを残し、要求にこたえられない人は早期に辞めさせていく、という企業もあります」と、上西教授は指摘している。加えて「あなたの能力を問うプロセスも省略して、『やる気』『熱意』『成長』といったことばかりを抽象的な形で強調している企業は、要注意」と助言する。
「ブラック企業の見分け方」については、「プレジデント」2014年2月17日号でも取り上げられた。本稿で示した点だけでなく、「就職四季報」を使って企業の本質をある程度読み解くポイントはまだある。企業側の心地よい誘い文句だけに惑わされず、客観的な数字をいくつも分析することで「ブラックか否か」が見えてきそうだ。