「20年近いモラトリアム期間を持て余す人」が増えている
でも、民主主義に定年はない。平均寿命が(低い方の)男性でもほぼ80歳に達した今、「上がり目は無いけれども失いたくはない」という人達が20年近いモラトリアム期間を持て余し、しかもそういった層が年々増加し続けている現状は、日本を巨大な一つの組織と考えた場合、筆者にはとても恐ろしい状況にあるように見える。
フォローしておくが、告示直後のマスコミ世論調査記事などをみても、筆者は、細川候補が当選することはさすがにないだろうと考える。シングルイシューで与党系候補を突き崩せるほど都知事選は甘くはない。ただ、細川陣営がどれくらい票を伸ばすか、中でも60代以上からどれくらい票を取るかに筆者は個人的に注目している。
特に世代によって濃淡が無い、あるいは60代以上からそっぽを向かれているようなら、筆者の心配は杞憂だろう。でも、仮に60代以上からそれなりの票を得ているようなら、時が経つにつれ、日本の改革のハードルはますます高くなるはずだ。(城繁幸)