新米パパ・ママの「アドバイザー」として採用
テーマパークのユニバーサル・スタジオジャパン(大阪市)で働く女性(48)は、パーク内のレストランに勤務している。2人の息子を育てた経験が活かされるのは、ファミリー層に対しての接客だ。
「ベビーカーの扱いや、ぐずってしまった子どもへの対応など、育児経験から身につけたホスピタリティは素晴らしい。接客へのプロ意識はお手本です」(同社・アシスタントマネージャー)
子ども服のミキハウスでは、「ミキハウスリンク」という、出産・育児で同社を退職した人が入会できるサークルがある。定期的に会報誌が送られ、その中には求人情報も。つまり育児がひと段落したら、いつでも復帰できる環境を作っているわけだ。
職場復帰した母親にうってつけな職も用意されている。初めて妊娠・出産・育児を経験する夫婦のために店舗に常駐する「子育てキャリアアドバイザー(KCA)」が、そのひとつだ。
復帰を希望したら、「マタニティ&ベビーの接客スペシャリスト」として認定される同社の研修プログラム(1年間)に参加できる。そうして現在では、全国の店舗に100人を超えるアドバイザーがいるという。
「主婦である、ママである、ありのままの自分に自信を持って社会に飛び出してほしい。主婦やママだからこそ、できる仕事があるんです」(藤原裕史・同社人事部長)
このように「ありのママ採用」によって、サービスの質が向上したとする企業は増えており、こうした動きは、医療福祉業界や住宅業界にも波及している。
企業側の期待がふくらんでいることに加え、「ママ」の側も仕事に復帰することに高い関心を示している。メディケア生命保険の調査(2013年7月発表)では、未就学児を持つ母親の8割強が「何かしらの仕事に就いていたい」と答えている。いわば「相思相愛」で、「ありのママ採用」が2014年の日本経済を明るくしてくれるのかもしれない。