グローバルコミュニケーション力を高めよう! 攻略すべき「3つの壁」とは

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   MBAでの重要な学びのひとつは「世界のどこに行っても対等にビジネスで渡り合えるグローバルコミュニケーション能力」だと感じています。今回は、この一年半アメリカで感じたコミュニケーションで意識すべき「3つの壁」をお伝えしたいと思います。

   クラスやミーティングで「こいつデキる」「デキない」と感じる瞬間があります。それを分けるのが「内容の壁」。

アメリカのほうが緩やかな「内容の壁」、日本人には厳しめの「沈黙の壁」

目指すべきは「内容の壁」「沈黙の壁」を超え、共感度でコミュニケーションをより深めること
目指すべきは「内容の壁」「沈黙の壁」を超え、共感度でコミュニケーションをより深めること

   留学した方なら「それは客観的な分析じゃなくて、主観的な意見でしかないだろ」とか、「そんな簡単なこともう一度説明させるの?」みたいな場面に直面してイラッと来たことがあるのでは?それでも何事もなかったように受け入れてくれるのがアメリカ流。よく「このディスカッションはGreen Light(青信号)だ」という言い方をするのですが、こちらでは発言の「質」を判定する際の「内容の壁」が低いところにあって、日本では高いところにあるように感じます(もちろん、本気の面接やプレゼンなどは別)。

   日本人の思考能力は高く、深いと感じる一方で苦労するのが「沈黙の壁」。議論の内容が分からずに無言でいると「出席していないのと一緒」と言われます。ディスカッションでは「こいつは(内容はどうあれ)自分の意見を自信を持って表明できる奴なのかどうか」ということを測られているように思います。「沈黙は金」なんていう考えは、ほとんど存在しない。アメリカでは発言の「量」において、これ以下しか発言していなかったらいないのと同じ、という「沈黙の壁」が高く、日本では低いと言えます。

   しかし!日本で感じるのと同じように、弁が立って内容が的を射ていたとしても、コミュニケーション能力が高いとは必ずしも言えません。次に突破すべきは「共感の壁」です。私が突破できなかったのは、スペイン人、ロシア人とチームを組んで行ったモスクワでの競合プレゼンテーションでした。事前にメールでやり取りをしたり電話会議したりしていたときは良かったのですが、現地で一週間缶詰めになってプレゼンを組み上げるときにうまく行かなかった。顔を突き合わせての議論がどこまで行っても表面的で、お互いの信頼関係を築けていないことは明白でした。

共感の壁を突破できればコミュニケーションはぐっと深まる

   逆に言うと、「共感の壁」を突破できれば他のコミュニケーション能力の不足を補うことができます。これはチャンスで、自分も相手も興味のあることの引き出しを持っていれば、英語が下手でもコミュニケーションが深まると言えます。

   例えば、宅配ピザのプロジェクトで調査に協力してもらったドミニカ出身のドライバーたちには野球の話をしました。「この前のWBC、君の国の代表すごかったなあ」「いや、日本も強かったよ。だって、前は日本が優勝だろ?」「今回はMLBのメンバーが出なかったからなあ」「イチローも黒田もいなかったからな」「ドミニカ代表はホセ・レイエスだよな」「おお!レイエス知ってんのか。この界隈じゃヒーローだぜ。ま、俺はヤンキースファンだけどな」「今年はヤンキース勝つといいな。2009年みたいに」「あの年は最高だったな」…こうやって盛り上がった後の仕事はうまく行く。

   国境を越えて共有できるネタ、相手の文化に興味があることを示すネタはあなたの周りにたくさんあるはずです。グローバルコミュニケーションに取り組む機会がある方は、「このネタ、外国人と共有するには英語でどう話すのかな?」と常日頃から準備して引き出しを増やして、「Big Empathy(大きな共感)」につながる「Small Talk(小ネタ)」をなるべくたくさん持っておくことをオススメします。次回はそんな「共感ネタ」を通じて英語コミュニケーション能力を向上する方法をお伝えします。(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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