どのようなタイプのリーダーが求められているのか
こうした自己分析やリーダーシップに関する授業を通じて身を持って「Step up to the plate!」という言葉の重要性を痛感しているのですが、個人的には「ひねくれた赤色」のリーダーや上司がいる組織には閉塞感が漂うような気がします。特に経歴だけを見るとエリートと呼ばれるような人に多いのではないかと考え「エリート症候群」と名付けてみました。「リスクの大きいことはしない」「実行は部下に任せる」「他人の領分は侵さない」。もちろんこうしたタイプの人材も組織には必要ですが、これが高じて「エリート症候群」に陥ってしまう人が多い。その特徴とは、
1. 評価が下がることを恐れてリスクを取らない
2. 決して自分の手を汚そうとしない
3. 自分の役に立つことしかしない
です。一流大学に入るためにはとにかくテストでミスをしないということが重要だったり、失敗をせず上司に従順であることが昇進に必要だったりという環境が上に挙げるような性質につながっていくのではないでしょうか。
MBAでは「エリート」という言葉よりも「タレント(才能のある人)」という言葉のほうが会話によく出てくるように思います。試しにGoogleで検索してみたら、「Global elite」が約1.2億件に対し、「Global talent」は約2億件でした。そこには「エリートだから○○していい」「エリートだから○○すべきでない」ではなく「○○ができるからあの人は『タレント』なのだ」という思想があるように感じられます。
ミシガン大学の名物教授で惜しくも2010年に亡くなったC・K・プラハラード氏が、「ストラテジック・インテント」という論文で1980年代に世界を席巻した日本企業の強みを分析しています。「4類型」に関して直接触れているわけではないのですが、いかに当時の日本企業が「緑色」と「青色」の面で優れていたかが如実に表れています。ご興味のある方はご一読をお勧めします。
採用へのTOEICやTOEFLの導入や社内での英語公用化など、グローバル企業になるために「形式」から入るのもいいと思いますが、一方でどのようなタイプのリーダーが求められているのか、あるいはどのような企業文化に変えて行きたいのかといった、組織論の面からの「内容」の分析も重要なのではないかと考えます。さあ、周りを見てください。いませんか?「エリート症候群」。(室健)