「偏差値の高い難関校」が目安にならない時代
かつては「偏差値の高い難関校」はそれ自体がひとつの目安となり、たとえ「グータラ学生」だったとしても常識や一般教養は身についていると期待できた。そのため企業側も、採用時には学力よりもサークル活動など学生生活の充実ぶりに注目した。ところが昨今は大学のレベルを問わず、「勉強しない」の意味が「常識を知らない」と同義になりつつあるようだ。興味のある分野には徹底して関心を寄せるが、逆にそうでない分野は一切知ろうとしない若者が増えたと石渡氏はみる。
ただ今日でも、大学でまじめに授業に出席し、勉強に励んでいる学生は就活に必要な社会常識や一般教養が身についているという。逆に基礎学力がない学生は、徹底して欠けている。言わば二極化が進行しているようだ。
「今、採用担当の最前線に立つ世代は、自分たちが学生時代には『勉強していない』と言われながらもある程度の常識が備わっていました。その感覚で現代の就活生と対したとき、『勉強不足』というより『常識知らず』という事実に驚かされることでしょう」(石橋氏)。
企業側も困っているが、学力重視のムードが採用活動でさらに広がれば状況は変わっていくかもしれない。「大学側も、就職指導で面接対策やエントリーシートの書き方ばかり注力せず、学生の本分として『もっと勉強しなさい』と促した方が事態の改善につながるのではないでしょうか」と提案した。