繁忙期は朝6時から夜中2時くらいまでの勤務
今回と次回は、私自身のブラック企業勤務経験と、私がこれまで相談に乗らせて頂いたブラック企業勤務者のお話から、「なぜブラック企業にいるのに辞めないのか?」というテーマを掘り下げて考察していきたい。
パターン(1)ブラック企業勤務にやりがい、意義を感じている
私が大学卒業後、最初に勤めた会社はもう存在しない。さまざまな経緯があり、同社は2008年に廃業した。2009年に上場廃止、そして同年12月31日に解散している。
ただ実質的な事業そのものは、商号を変更しながら現在も継続している。ちなみに最新版の「ブラック企業ランキング」では、旧社名の名義で、堂々の偏差値「75」に位置している。これは「ブラック企業の代名詞」、モンテローザやワタミ、光通信などと同ランクという輝かしい(?)ポジションである。
さて、同社の何がそこまでブラックと認知されているのか。恐らく、次のような点からであろう。
●ハードワークで低賃金
繁忙期は朝6時から夜中2時くらいまでの勤務。帰れないのでオフィスで寝袋生活。しかも残業代やもろもろの手当は存在しなかった。
●グレーな「給与天引」問題
その会社のメイン事業はいわゆる「日雇い派遣」であったが、派遣スタッフへの給与から「データ装備費」という名目で不明瞭な天引きをおこなっており、後に社会問題に発展。業界全体の慣行としておこなわれていたことだったが、同社が大手であったことから批判の的になった。
●「二重派遣」問題
派遣労働者が、派遣先からさらに別の企業に派遣される「二重派遣」は職業安定法や労働基準法で禁止されている違法行為。同社はこの事件発覚で逮捕者を出し、法人としても書類送検され、罰金刑を命じられた(これにより、会社の事業許可が取り消されることがほぼ確実となったため、2008年に全ての事業が廃止となった)。
ハードワークの割に低賃金で、明らかな違法行為をおこなっていたわけであるから、私の基準から考えても同社はブラック企業だったといえる。