「人を活かしている」つもりの経営者 従業員の意識とはこんなにズレていた

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従業員からみて徹底してホワイト企業であること

   では実際に働いている側の受け止め方どうなのでしょうか。当該記事ではそのあたりに焦点があてられていました。それによれば、従業員が考える「人を活かす会社」として重視する点について回答の多かった順に、1位が「休暇のとりやすさ」、2位「労働時間の適正さ」、以下「労災予防」「セクハラ・パワハラ対策」「雇用の維持」と続いています。3社長が考える「人を活かす」ための具体策とは随分と乖離があるように思われます。

   もちろん社長方が考える「人材を大切にすること」は大正解ですし、そのための具体策として人材個々の能力を最大限に引き出してあげるという考え方は決して悪いことではありません。でもこの具体策が優先されるのは、あくまで経営者サイドに立ったモノの見方であるのかもしれません。調査結果を見る限りにおいて、従業員サイドから見た場合、「人を活かす」に先立つ基本的な職場環境の問題がいくつもあるということのようなのです。

   結果を聞いたC社長があることに気がつきました。

   「なるほど、従業員が考える「人を活かす」具体策は、どれもそれが欠けてしまうことでブラック企業と揶揄されかねない要素だね」

   それを受けてB社長、

「要するに、従業員からみて徹底してホワイト企業であることが彼らのやる気を持ち上げ、結果として「人を活かす」ことになるということですね」

   最後にA社長がまとめてくれました。

「いま噂のブラック企業というやつは、実は「人を活かす」企業の対局にあるっていうことだな。職場環境に目配せして「人を活かす」経営を心がけていれば、ブラック企業呼ばわりされる心配もないわけだ」

   ブラック企業と「人を活かす」企業は実は表裏一体であるということを、出席者一同で再確認した新年でした。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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