景気良くなると高まる企業リスクも 「転職先への手土産」秘密持ち出しに要警戒

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当たり前だが難しいことを地道に

   景気回復期においても、金銭問題を抱えるリスクは高まる。株価上昇や円安進展に踊らされてハイリスク投資にのめり込んだり、収入増に気が緩んでギャンブルや遊興などに浪費してしまったりして、気がつけば借金漬けというリスクだ。

   ハラスメントやサービス残業などのいわゆる「ブラック企業」問題は、景気に関わらず2014年も続くだろう。上司や会社への恨み、処遇への不満は不正の動機を強め、「会社には貸しがある」「サービス残業の埋め合わせだ」などの正当化につながりやすい。さらに、上司や会社の不適切行為を監督官庁やマスコミへ告発して「倍返し」しようという心理も高まりやすい。

   不正防止に特効薬はなく、残念ながら今年もフツーの人々が不正に手を染めてしまうだろう。不正でキャリアを台無しにする社員を出さないためには、「部下がプレッシャーや不満を抱え込まないようコミュニケーションをしっかりとる」「仕事を任せきりにしない」「上司が率先していい手本を見せる」「違反に気づいたら率直に指摘して正す」など、当たり前だが難しいことを地道に実践し続けるしかない。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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